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技術・教育セミナー

これから神経病理に携わる人のために

日時:第1日目 6月4日(木)午前10時00分〜午後2時40分

会場:E会場(かがわ国際会議場1階展示場)


お申し込みは、事前に電子メール:jsnp50thtmin.ac.jpへお願いします。

参加料5000円を指定の口座にお振り込み下さい。

1. 解剖法と脳の切り出し

座長 : 若林 孝一

10:00am〜東京都神経科学総合研究所神経病理学  橋本 智代

これまでに脳の病理検索に携わったことのない人、これから始める人が、基本的な診断を正しく行えるために最低限必要な脳・脊髄検索方法を、解剖法から肉眼検索、切り出し方法について説明する。

2. ブレインバンクの稼働の実情と活用について

座長 : 北本 哲之

10:25am〜東京都老人総合研究所高齢者ブレインバンク  村山 繁雄

死後脳を研究資源として凍結・保存するにあたり、施設内コンセンサスの取得法、同意に関する倫理委員会の承認法、死亡より剖検までの遺体の保存法、脳の取り出し法、臨床・画像・肉眼病理所見に基づく凍結部位と固定部位の決定法、解剖学的部位の同定・スライス・写真撮影・保存法、凍結法、臨床・画像・病理所見のデジタルデータベース化法、凍結脳の保管法、資源利用希望者の審査・承認法、切り出し法、配布法について解説する。

3. バーチャルスライド時代の病理

座長 : 新井 信隆

10:50am〜東京大学医学部附属病院病理部  宇於崎 宏

組織標本の観察にバーチャルスライドを利用する機会が増えており、非常に簡単に観察でき、遠隔地とも標本を共有することができる。しかし、バーチャルスライドの発信者側となるには、少々の知識が必要である。本演題では、発信者としてどのような事が出来るか、実例・展望を含めて、病理医の立場から紹介したい。

4. 脳の標準的な染色法と見方

座長 : 島田 厚良

11:15am〜東京都神経科学総合研究所臨床神経病理  小森 隆司

本講演では、一般病理診断に従事されている方やこれから神経病理学を学びたいと考えている様々な分野の方々を対象に、脳脊髄疾患の診断の為に必要な標準的な染色法と基本的な所見の取りかたを解説する。主に剖検例を念頭に、臨床側から呈示された診断に対して、脳のどのような部位をどのような染色を用いて検索したら良いのかなどについて、実例を呈示しながら具体的な手順を解説する。

5. 脳・脊髄病変の迅速診断をどう進めるか

座長 : 柿田 明美

11:40am〜群馬大学医学部附属病院病理部  平戸 純子他

迅速診断は外科的切除範囲を術中に決定するために重要な役割を担っている。セミナーでは、凍結標本の作製法とともに擦り合わせ法によるスメア標本の作製法を具体的に提示し、さらにこれらの標本を観察し診断する際の留意点を中心に解説する。

6. 診断の為の免疫組織化学

座長 : 内原 俊記

(昼食と)新潟大学脳研究所病理学分野  山田 光則

免疫組織化学は神経病理学の分野でも広く用いられ、ときに神経疾患の診断そのものを左右する重要な知見を提供する。ここでは一般的な研究室、検査室で神経系の免疫組織化学的検索を行うことを想定し、そのための基本的な技術、注意事項を概説する。内容は、検索部位の選択、組織処理、手法、抗体の選択、観察、電顕免疫組織化学である。

7. 脳・脊髄の感染症の診断について

座長 : 高尾 昌樹

1:00pm〜大阪赤十字病院病理部  新宅 雅幸

中枢神経系に感染症を惹起する病原体は細菌、ウイルス、真菌、原虫、寄生虫の5つに大別される。これらの感染症は通常中枢神経系に炎症反応を起こす。顕微鏡下に炎症性病変を見た場合には、まず感染症を考えて以後の検索を進めるのが普通である。しかし感染症の中には組織学的に殆ど炎症反応を示さないものがあり、また脱髄疾患や自己免疫疾患、腫瘍随伴性脳炎など、感染症以外に炎症像を示してくる疾患も多い。中枢神経系感染症の病理について、上記のような診断上の問題点に留意しつつ、組織像の概略を述べる。

8. 筋生検と末梢神経生検の病理学的検査の基礎

座長 : 川井 充

          
1:20pm〜東京都立神経病院脳神経内科  松原 四郎

筋生検と神経生検は神経・筋の病気の診断には不可欠な検査です。しかし生検した検体の処理と標本作製には、少々ですが特殊な方法が用いられるため、なかなか一般の検査室で実施しにくい面が、これまでありました。このお話では一般的な病理検査が行われている検査室で比較的簡単にできる方法をご紹介します。また、代表的な疾患とその病理変化をご覧いただきます。

9. 電顕が必要なとき - 脳腫瘍の診断-

座長 : 佐々木 惇

          
1:50pm〜徳島県立中央病院病理診断科  廣瀬 隆則

脳腫瘍の診断における電子顕微鏡の役割は減少しつつあるが、いくつかの腫瘍型では依然として確定診断に重要な役割を果たすことがある。また新しい腫瘍概念の提唱や分化形質の解明に、電顕的検索は欠かせない。ここでは、神経細胞性腫瘍、上衣細胞性腫瘍、髄膜腫などの電顕所見について解説する。

10. 病理検体を用いた遺伝子解析

座長 : 宮田 元

       
2:15pm〜2:40pm北海道大学大学院医学研究科腫瘍病理学分野  田中 伸哉

神経病理学の分野のみならず病理学全般に遺伝子診断の重要性は増している。従来は核酸抽出法も煩雑な操作が要求されたが、最近はキットの性能も向上し、簡単な実験設備があれば比較的容易に解析を行う事が可能となってきている。本セミナーでは、(1)脳腫瘍におけるMGMTの遺伝子解析と問題点、(2)一般病理組織のパラフィン検体からのRNA抽出とRT-PCR法の実際の応用例、の2点についてお示ししたい。

第50回日本神経病理学会 総会学術研究会